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ー車海老養殖の新たな手法!企業の工夫・イノベーションとはー

車海老は昔から多くの日本人に好かれている大切な海産物です。マルハニチロ株式会社が2018年に男女約1000人を対象に行った調査では、「好きな海の幸」のランキングのなかで「海老」が1位でした。ですが、国内需要は高いものの、国内自給率が1割にも満たないといわれており、輸入に頼るしかないのが現状です。そこで、技術革新によって車海老養殖の新たな手法が開発されました。このサイトでは、車海老養殖の新たな技術をご紹介します。

 

車海老養殖の基本

海老の国内需要は非常に高く、国民農協のデータによると、2019年の年間消費量は23万トンを超えるといわれています。ですが、うち70%が東南アジアからの輸入で支えられているのが実状です。もちろん、国内にも車海老の養殖施設はありますが、日本人の大きな需要に対して供給がまったく追いついていません。ここからは国内の車海老養殖についてご紹介します。

 

車海老養殖の基本的な手法

まず、池や水域を準備し、海水を利用して適切な水質を確保します。この水は、稚海老が健康に成長できるよう管理するために重要な要素です。

稚海老が池に投入されると、その健康状態や成長を定期的に確認します。水質やエサの管理を行い、成長を促進するのが大切です。海老が成長するにつれ、エサや環境の調整を行いながら健康な成体へと育てていきます。これによって、栄養管理や病気予防が可能です。成熟した海老は厳密な基準に基づいて選別され、出荷の準備が整えられます。

 

車海老養殖の課題

車海老養殖の課題には、水質管理や環境の不安定さが挙げられます。特に、海や川での養殖は水質の変化や温度の上下、病気や感染症のリスクがあり、管理が難しいです。これらの要因は、稚海老の生存率や品質の確保に大きな影響をおよぼしています。

養殖業界全体での持続可能性や環境への影響も懸念されています。水資源の過剰な使用や排出物の管理、生態系への影響を最小限に抑えることが重要です。

国内の需要を満たすためには、高品質な車海老を安定して出荷し販売することが必要ですが、そのための設備やシステムの整備が不十分な状況です。設備面での課題も国内自給率の低さにつながっています。

 

車海老養殖の工夫とイノベーション

水産業における池や水の利用方法の技術革新は、業界全体に大きな影響を与えています。伝統的な海水養殖池から閉鎖循環式の施設への移行により、水の再利用が可能になりました。これにより、水質管理が向上するだけでなく、河川の近くでなくても養殖できるため、環境への負荷が軽減されています。

 

天然素材のフルボ酸を使った閉鎖循環式陸上養殖システム

有限会社エムアール環境計画は天然素材のフルボ酸を利用した閉鎖循環式陸上養殖システムを開発しました。閉鎖循環式陸上養殖システムは、電源と水源があれば山間部でも車海老を養殖可能な新技術です。

フルボ酸は土壌改良剤としても利用されますが、水中での生育にも応用できます。海水にフルボ酸を添加し、水質を最適な状態に整えながら水産物の成長をサポート。フルボ酸は酵素活性を高め、水中の栄養素の吸収を助けるため、水産物の成長に良い影響を与えます。

成長過程での管理は定期的に行い、健康状態を維持するには水質や水槽内の環境チェックが重要です。フルボ酸の添加により、魚や海老のストレスが軽減され、病気の予防や免疫力の向上に寄与します。こうした管理によって、通常の養殖方法で約3割の稚海老の生存率を約7割まで引き上げることに成功しました。

 

閉鎖循環式陸上養殖を実現した工夫

閉鎖循環式陸上養殖の実現には、さまざまな工夫や技術革新がありました。

まず、循環システムの構築が重要です。このシステムでは、車海老の養殖を始めるときに車海老の成長に適した水質をつくります。そのため、地下水などの水源を活用して、海水のない地域でも設置が可能です。コストの低い水を利用しつつ、水の循環と再利用を実現する必要があります。

閉鎖循環式陸上養殖システムは、消毒液や抗生物質などを一切使用しません。天然由来のフルボ酸を活用して病原菌を抑制し、車海老が病気にかかりにくい良好な水質を保っています。

良質な養殖環境を整える工夫によって、従来の養殖に比べて高い稚海老の生存率を誇ります。稚海老の購入費用を無駄にすることなく、車海老を効率的に出荷でき、安定した収益が実現可能です。

 

閉鎖循環式陸上養殖システムはメンテナンスも簡単

閉鎖循環式陸上養殖システムは、養殖経験がない方でも簡単にメンテナンスできる工夫が施されています。そのため、養殖業界への新規参入者や経験の浅い方でも取り組みやすいシステムです。

特に注力されているのが水質管理システムです。フルボ酸を活用するシステムにより、水質を維持するための手入れや清掃を頻繁に行う必要がありません。水槽の底部や周囲の掃除など煩雑な作業が不要になり、初心者でも簡単にシステムを維持できます。

さらに、周辺機器についても、使いやすさを重視した設計がなされています。専門的な知識がなくても簡単に操作できる製品が導入されており、これにより、養殖システムの管理がスムーズに行えるでしょう。また、導入後のサポートも充実しており、トラブルや疑問が生じた際にはすぐに対応できる体制が整えられています。

これらの工夫により、閉鎖循環式陸上養殖システムは、初心者や養殖未経験者でも手軽にメンテナンスできるシステムとなっています。業界未経験者にも親しみやすく、手間をかけずにシステムを管理できるため、養殖の世界への新たな参加者を増やし、業界全体の発展が期待できるでしょう。

 

工夫による車海老養殖の進化と将来への期待

閉鎖循環式陸上養殖システムのような工夫で養殖技術の進化が続けば、将来的には、参入障壁を下げながら高品質な車海老供給の継続が期待されます。ビジネス展開しやすい養殖手法の採用や技術の進歩により、国内自給率が上がるきっかけも生まれるでしょう。

2024.01.11