「姿イセエビ、味クルマエビ」といわれるほど美味しい車海老ですが、近年では天然の車海老を見かけることが少なくなり、養殖の車海老が多く出回るようになりました。
しかし、「養殖の車海老は、天然物と比べて味が劣るのではないか?」とご不安になる方も多いようです。
そこで今回は、天然の車海老と養殖の車海老の違いを徹底解説していきます。
味や見た目などに、どのような違いがあるのかを知ることで、より美味しく食べることができますので、ぜひ参考にしてみてください。
車海老とは?
車海老とは、日本で最も美味しいといわれる海老の一つです。
十脚目クルマエビ科に分類される海老の一種で、体を丸めた姿が車のタイヤに似ていることから車海老と名付けられました。
また、車海老は成長するごとに名前が変わり、出世海老としても人気です。
美しい赤みを帯びた体に、くっきりとした縞模様が特徴で、虹色の尻尾をしています。
「姿イセエビ、味クルマエビ」とよばれるほど美味しい車海老は、伊勢海老と並び高級な食材としてお寿司屋さんでも使われることが多く、食卓に並べば誰もが唾を飲み込む一品です。
身はプリプリで、味は濃く、シンプルな料理でも十分にその美味しさを味わえるでしょう。
車海老の天然物と養殖物の違い
車海老は、自然界で育った天然物と、人の手によって人工的に育てられた養殖物があります。
天然物と養殖物は、さまざまなところで比べられることが多いようですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、天然の車海老と養殖の車海老の違いを詳しく解説していきます。
見た目の違い
車海老は、鮮やかな縞模様と、虹色に光る尻尾が特徴です。
一見見分けのつかない天然物と養殖物ですが、天然の車海老の方が、若干綺麗な色をしています。
天然の車海老は、赤みを帯びた体に濃い縞模様が特徴です。
一方の養殖物は、少し黒ずんだ体をしており、天然の車海老ほど鮮やかな色ではありません。
しかし、天然物も養殖物も見た目に大きな差異はなく、二つ並べてようやく違いがわかる程度です。
生態の違い
車海老は夜行性の生き物で、昼間は砂に潜って過ごし、夜になると餌を探し求め海中を泳ぎ始めます。
体長は30cmを超える個体もいますが、ほとんどの車海老は15cm前後です。
生息地は幅広く、東南アジア全域から太平洋沿岸、地中海、日本では北海道南部に生息しています。
生態については天然物と養殖物とで違いはありませんが、養殖の車海老は主に沖縄県や鹿児島県、熊本県が産地として有名です。
一方、天然の車海老は、愛知県や愛媛県が産地として有名になります。
旬の違い
天然の車海老の旬は、6月〜8月にかけての夏です。
この時期に多くの車海老が獲れていたことから、昔は夏の季語として親しまれてきました。
一方、養殖の車海老は12月〜2月にかけての冬が旬となるため、天然物が出回らない時期でも車海老を食べられます。
味の違い
天然の車海老と養殖の車海老を比べたとき、やはり天然物のほうが香り高く味が良いといわれています。
しかし最近では、天然の車海老でも養殖の車海老でも、味に大きな違いはないようです。
養殖の技術が発展し、車海老を育てるための環境が整っているため、養殖物でも身が詰まったプリっとした食感に、車海老らしい濃い味が楽しめます。
また、天然物も養殖物も高級海老である車海老ならではの甘みを堪能できるので、どちらかが劣っているということはないでしょう。
値段の違い
天然の車海老は、希少価値が高く味も最高級に良いため、高級海老として高値で取引されています。
スーパーに並んでいたとしても、他のエビより高値で販売されているでしょう。
また、養殖の車海老も、餌代や設備費が高いなどの理由から、販売価格は高額です。
しかし、天然の車海老と比べたら、養殖物のほうが安く購入できる傾向にあります。
値段自体は、スーパーで良く見かけるブラックタイガーの2〜3倍が相場でしょう。
養殖物でも、鮮度が良ければ天然物と大差ないので、新鮮な養殖の車海老を選ぶことをお勧めします。
車海老の美味しい食べ方
車海老は、そのままでも海老らしいしっかりとした味を楽しめます。
冷凍された状態で輸入されることが多い他のエビたちとは違い、車海老は鮮度が命です。
養殖の車海老でも、鮮度の良い状態であれば天然物の美味しさを凌駕することもあります。
そのため鮮度の良い状態で届く車海老は、シンプルな調理方法で料理されることが多く、手間をかけずに車海老の味を堪能できるでしょう。
ここでは、車海老のおすすめの美味しい食べ方をご紹介していきます。
車海老が手に入った方は、ぜひ参考にしてみてください。
お刺身
鮮度の良い車海老を入手できたのなら、お刺身にして食べるのも良いでしょう。
作り方もシンプルで、頭と体を切り離し、殻を剥いて背わたをとるだけです。
お醤油やわさびと一緒に食べれば、車海老でしか味わえないプリプリの食感と甘みを楽しめます。
ボイル
鮮度の良い車海老は、茹でることでさらに香りが高くなり、甘みが増します。
簡単に調理することができるうえに、海老特有の食感を楽しむことができるので、おすすめです。
お刺身などの生で食べることに抵抗がある方も、ボイルで食べてみると良いでしょう。
茹であがった車海老は、鮮やかな赤色で、見た目もより美しくなります。
塩焼き
塩焼きにしてシンプルに食べるのも、車海老の甘みと歯ごたえを堪能できる食べ方です。
作り方も簡単で、車海老の頭と胴を切り離し、殻を剥いて背わたを取ります。
次に魚焼きグリルなどで塩焼きにすれば完成です。
お酒との相性も良いので、晩酌をしながら食べてみてください。
天ぷら
高級天ぷら店にも使用されている車海老。
ご自宅でも天ぷらにすると美味しく食べることができます。
車海老の強い甘みが天つゆとも相性抜群で、ご飯が進むこと間違いありません。
まとめ
世の中に出回っている車海老は、現在8割が養殖物といわれています。
天然の車海老とのはっきりとした違いは、旬や見た目くらいです。
希少価値は天然物のほうが高いかもしれませんが、味や特徴に大きな違いはなく、養殖物でも天然の車海老と変わらない美味しさを堪能できるでしょう。
また、車海老が手に入った際は、茹でたり天ぷらにしたりして召し上がってみてください。
車海老の特徴であるプリプリとした食感や、香りの高い甘い味が楽しめます。